東京高等裁判所 昭和61年(行ケ)82号 判決
請求の原因一ないし四は当事者間に争いがない。
本件では、被告が本願発明の当初明細書についてその記載が不明瞭であるため改正前の特許法第三六条第四項及び第五項に規定する要件を満たしていないとして、本件拒絶理由通知をしたところ、これに対し原告が本件補正書を提出した。しかして、被告は、本件補正書により本件拒絶理由通知が指摘した事項はすべて明らかにされたことについて争わないし、成立に争いのない甲第二号証(当初明細書)及び第一二号証(本件補正書)によれば、本件拒絶理由通知により不明瞭であると指摘された事項はすべて本件補正書により明らかにされたものと認めることができる。
そうであれば、被告が、本願明細書は改正後の特許法第三六条第三項に規定する要件を満たしていないとして、原告の審判請求を排斥したことは誤りであるといわざるを得ない。以上のとうりであるから、その主張の点に違法があることを理由に本件審決の取消しを求める原告の請求は理由がある。よつて、これを認容することとする。
〔編注〕本件における被告の請求原因に対する認否は左のとおりである。
請求の原因一ないし四の事実は認める。
本件審決が、当初明細書につき本件拒絶理由通知により指摘した事項は、原告提出に係る本件補正書により、当業者が容易に実施することができる程度に記載されたことは争わない。